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浄智寺の 朝比奈惠温ご住職 のお話が聞きたい① 『想像力を広げて』の巻

北鎌倉の浄智寺は、鎌倉ボンズくんが最初に境内マップ(日本語版・英語版・繁体字版)をつくらせていただいてから、ずっとお世話になっているお寺です。ご住職 朝比奈惠温(あさひな えおん)さんは、鎌倉の「顔」としてさまざまなメディアでも人気ですが,まだまだお聞きしたいことがたくさんあって、境内の書院にて、インタビューさせていただきました。(3回シリーズ:第2回『文化の発信地として』の巻,第3回『心が穏やかなになる場所』の巻

浄智寺さんの入口風景。山門の苔むした鎌倉石の石段は,地形の起伏に沿って奥へと登っていく。

ボンズ・チーム(以下Bonz):今日はどうもありがとうございます!
はじめにお聞きしたいのですが、惠温さんは、浄智寺さんにお参りに来られる方に、どのようなところを見てほしいと思っていらっしゃいますか。

惠温さん:今見えている浄智寺の姿だけでなく、歴史を知って、昔の姿も想像を巡らせてほしいですね。
浄智寺は、もともと創建(1281年)当時、この辺り一帯が境内*で、坂の下から上がってくると小さなお寺(塔頭)がいくつもありました。

* 寺域は源氏山ハイキングコースにある天柱峰まで広がっていて、最盛期は
七堂伽藍・塔頭は11寺院あった。

お庭の樹木や草花が窓いっぱいに広がる書院にて。建物は茅葺で、大正13年築。

惠温さん:鎌倉は、江戸時代になるとどうしても寂れて往時の勢いはなくなってしまいましたが、それまでは、今の言葉で言うと、大勢のお坊さんが盛んに禅の勉強をしていたお寺だったということを、知ってほしいなと思います。

Bonz
もともとの浄智寺さんの境内の一部は、今は閑静な住宅になっていたり、坂の上には「たからの庭」「宝庵」がありますね。

惠温さん:そうですね、「たからの庭」の奥には,開山様*のお墓があると考えられていますが、ちょっとわかっていないんです。

*日本人禅僧 南洲宏海(なんしゅう こうかい)が、宋(中国)から
兀菴普寧(ごったん ふねい)・大休正念(だいきゅう しょうねん)という高僧を招き,
3名が開山として名を連ねている。

Bonz:歴史ミステリーですね。

惠温さん:100年くらい前に起きた関東大震災(1923年)では、建築物がだいぶ壊れて、復興しきれていないままのところもありますが、私の代では鐘つき堂(鐘楼門)を建て直しました。

鐘楼門(鐘撞き堂)2階が鐘楼という珍しい山門。1679年鋳造の銅の鐘が掛かっている。

関東大震災の後、廃材のような寄せ集めの材料でつくられていたので、翠雲堂という浅草の仏具屋さん(宮大工を抱えている)に、震災前の写真を見せてそれに近づけるように、あんまり逸脱したデザインにならないように、昔の宋風の様子を尊重してもらいました。

Bonz:浄智寺さんのご本尊は、「三世仏」と呼ばれる3体の如来さまですね。⭐︎県重要文化財

惠温さん:阿弥陀如来・釈迦如来・弥勒如来というそれぞれ過去・現在・未来,3つの世界を救う三世仏(さんぜぶつ)が並んでいます。

(左から阿弥陀如来・釈迦如来・弥勒如来)三世に渡って人々の願いを聞き入れてくださるありがたい如来さま「三世仏」。一度火事で焼け,今の仏さまは南北朝時代に作られた木造である。黒い床は宋風スタイルと呼ばれる。

惠温さん:中央がお釈迦さま(釈迦如来)で、左右に菩薩さま、という場合が多いので、ご本尊3体が如来で同じ大きさというのは珍しい形式です。菩薩として表されることの多い弥勒さまも、同格の如来です。浄智寺と、鎌倉では浄光明寺さん、永平寺もそうですね。

ボンズくんがご案内する公式境内マップより抜粋。 マップ裏面に本堂やご本尊の解説が書かれている。

Bonz:浄智寺さんはいつ来ても、お庭もとてもきれいです。季節ごとに咲くお花や、多彩な石灯籠など、お庭はどのようにつくられているのでしょうか。

惠温さん:昭和の初めに祖父が住職としてお預かりして、父から私へと引き継いでいます。大名屋敷にあるような日本庭園の造りとは違いますが、あまりつくり過ぎない、ごく自然に北鎌倉らしい景色をイメージして、庭師さんと話しながらお手入れしています。
あの灯籠とかは,母の実家(お寺)から持ってきたんじゃないかな。こっちの灯籠は、以前若宮大路にあったお店の軒を支えていたのを,母が気に入って、お店を閉めるときにくださったもの。

Bonz:お寺って、ただ昔からのものを引き継いでいるだけではなくて、その時代時代でつくっていくものなのですね。

惠温さん:ここ数年、庭師さんと取り組んでいるのは、岩崖を覆っていた表土を全部はがして、石肌を露出させることです。それがそもそもの昔の正式な境内の景色だったんじゃないかと思うので。このあたりの岩肌は気に入っています。

浄智寺さんの駐車場横に切り立った岩壁。岩肌がよく見える。

Bonz:当時の修行僧の方たちが、平らな土地を確保するためにお坊さんたちが手作業で削っていったことも想像できますね。

鎌倉石は比較的やわらかく、掘りやすかったことと、起伏に富んだ地形で
平地が少なかったことから,鎌倉の谷戸には手作業で掘ったやぐらもたくさんある。

惠温さん:建長寺さんで大きな儀式があった時の記録に、浄智寺のお坊さんが300人くらいいたという記述が残っていますから、人手はあった。木も薪にしたり、建物に使ったりするから、今ほど背が高くなるまで育った木はたくさんなくて、空が広かっただろうなと思いますね…

Bonz:想像が広がりますね! (第2回へつづく…)

 『金寶山 浄智寺 みどころどこかな』(日本語版・英語版・繁体字版:各1部 20円)鎌倉ボンズくんと相棒犬のいるもんがご案内する公式境内マップ。 拝観受付で,ぜひ手にとってみてください。

■浄智寺(金寶山浄智寺)
臨済宗円覚寺派・鎌倉五山第四位
1281年頃、鎌倉幕府第5代執権北条時頼の三男・北条宗政の菩提を弔うために創建されました。
最盛期には七堂伽藍を備え、塔頭も11寺院に達したと伝わり, 鐘楼門や本堂には、当時の中国から伝わった「宋風」の様式がうかがえます。
本尊は、過去・現世・未来を表す阿弥陀如来・釈迦如来・弥勒如来の木造三世仏坐像。 境内奥の洞窟には、鎌倉江の島七福神の布袋尊がまつられています。
鎌倉市山ノ内1402 電話0467-22-3943
JR北鎌倉駅から徒歩8分。
拝観時間9時〜16時30分/無休
拝観料 大人300円・小人(中学生以下)100円
※天候等により拝観を休止する場合があります。
https://jochiji.com/

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